黒にんにくに豊富に含まれている成分「S-アリルシステイン(水溶性含硫アミノ酸)」には、様々な効能・効果があります。このページでは S-アリルシステイン の効能・効果についてまとめていきます。
S-アリルシステインとは
S-アリルシステインとは、「にんにく」だけに含まれている成分で、イオウ原子を含む無臭の水溶性含硫アミノ酸です。S-アリルシステインは生ニンニクを切ったり、すりおろしたり、つぶしたり、または熟成したときに、ニンニク内に存在する酵素によって生成されていきます。とくにニンニクの熟成は、S-アリルシステインが増えるので最近注目されています。
名 称 :S-アリルシステイン
分子式 :C6H11NO2S
化学式名:S-アリル-L-システイン
英語別名:SAC

S-アリルシステインの効能効果
S-アリルシステインは最近、研究されるようになった有効成分ですが、現在でわかっているS-アリルシステインの効能・効果は以下の通りです。
- ガン予防
- がん細胞抑制作用
- 肝障害予防作用
- 高血圧改善
- 抗酸化作用
- アルツハイマー(認知症)予防
- 動脈硬化予防
- 心臓疾患予防
- 冷え性改善
- 免疫力アップ(ナチュラルキラー(NK)細胞を活性化)
- コレステロール低下
- 動脈硬化改善
- 抗菌作用
S-アリルシステインの効能・効果については、現役医者をはじめ、大学教授らがいろんな見解を持っております。
以下は、銀座東京クリックの福田一典氏が述べたS-アリルシステインの効果・効能についてです。
ニンニクを熟成させると、本来存在していなかったS-アリルシステイン(S-allylcysteine, SAC)やS-アリルメルカプトシステイン(S-allyl-mercapto-cysteine)という新しい成分が出現することが知られています。
S-アリルシステインは水溶性イオウ化合物で、経口摂取でほとんどが血液中に吸収されます。ラットの試験では、経口摂取後の血漿中、肝臓、腎臓、肺などの臓器のS-アリルシステインの濃度は15~30分という短時間でピークに達しています。S-アリルシステインは、抗酸化作用、肝障害予防作用、がん予防作用、がん細胞増殖抑制作用など多様な薬理作用を有することが報告されています。
生のニンニクは臭いや胃腸の刺激作用で、多くを摂取することは困難ですが、ニンニクを熟成させると、臭いがなくなり、刺激性も減少し、抗酸化力が高まり、がん予防効果のあるS-アリルシステインなどの新規成分が生成されることが知られています。
このようなニンニクの健康作用をさらに高め、驚異的な抗酸化力をもつ熟成黒ニンニクは、抵抗力を高め、老化を防ぐ食品として期待がもてます。引用:http://www.1ginzaclinic.com/garlic/garlic.html
文責:銀座東京クリニック 福田一典氏
お次は、元弘前大学教授の佐々木甚一氏によるS-アリルシステインの効能・効果です。
「S-アリル-L-システイン」はイオウを含む水溶性のアミノ酸です。 その「S-アリル-L-システイン」には次のような働きがあります。
- 水溶性イオウ化合物でほとんどが血中に吸収される。ラット実験では経口摂取後 15 ~ 30 分で血中、肝、腎、肺などでピークになる
- 抗腫瘍作用(マウス実験)
- 脳卒中発症を抑制
- 抗酸化作用による心筋梗塞の予防(ラット実験)
- 神経細胞死の保護作用(神経細胞の培養実験)
- 脳の働きを高める(世界ニンニク会議、1998 年)
- AGE *のがん患者への投与でNK細胞の活性が増強
- AGE の経口投与で大腸(結腸)の化学発癌を抑制(ラット実験)
- コレステロール値を低下
引用:http://www.e-ninniku.com/af/q&a_kuroninniku.pdf
文責:元弘前大学教授 佐々木甚一氏
また、東京大学名誉教授である齋藤洋氏(薬学博士)は、自身が監修した「認知症はこうしたら治せる」という著書の中でS-アリルシステインが認知症に効果的だと提唱しています。以下、その著書の引用です。
低温熟成ニンニク抽出物摂取群では、「活力」を有意に増加、「集中力」「記憶力」「睡眠の質」を向上、かつ「不安」を緩和させる結果になりました。また、「整腸力」「肌状態」を改善する傾向が試験前後の変化として見られました。
被験者個人の総合的な実効を評価したところ、低温熟成ニンニク抽出物摂取群において、摂取4週間後は72%、摂取8週間後には80%の被験者が有用な体感を得ていました。一方、プラセボ摂取群においては、いずれの観察時期においても実効感は31~39%の範囲でした。
以上の結果から、低温熟成ニンニク抽出物の継続摂取は、ヒトの体感的な健康効果があり、集中力や記憶力といった脳の働きを向上させることがわかりました。
引用:認知症はこうしたら治せる(著者:犬山 康子 、監修:齋藤 洋 )
S-アリルシステインは、まだまだ研究が始まったばかりの成分ですが、私たち人間に対する健康効果は高いようです。
S-アリルシステインのさらなる研究
S-アリルシステインの有効性に気づいた科学者は、S-アリルシステインの可能性を探求しようと様々な研究がなされました。以下は、これまでなされたS-アリルシステインの研究を一部、まとめて紹介します。
研究者名: 佐々木 甚一
研究目的と成果:S-アリルシステインによる抗がん作用の研究を行った。その結果、免疫(NK細胞)が活性化する結果が出た。また、発がんの予防効果も動物実験で確認されました。(引用:http://www.e-ninniku.com/af/q&a_kuroninniku.pdf)
研究者名:県立広島大学大学院
研究目的と成果:熟成ニンニク抽出液(S-アリルシステイン)による大腸腫瘍の抑制効果に関する研究がなされた。その結果、AGE の腫瘍発育抑制効果を示し、大腸癌の予防効果を科学的に示すことができた。(引用:http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/pu-hiroshima/file/12268/20150526143202/k0026-fulltext.pdf)
研究者名:インド・ケララ大学
研究目的と成果 S-アリルシステインスルホキシド(アリイン)の抗糖尿病効果の研究が行われた。その結果、糖尿病ラットにおいて有意な抗糖尿病効果を示すことが見出された。(引用:http://europepmc.org/abstract/med/1506036)
研究者名:湧永製薬株式会社
研究目的と成果: 黒にんにくの成分「S−アリルシステイン(SAC)」の薬物動態をラットを使って研究・分析が行われた。その結果、血漿濃度が非常に低いという結果になった。動脈硬化の抑制効果が期待できる。
研究者名:水口 真二郎
研究目的と成果: S-アリルシステイン(SAC)の肺線維化抑制効果について研究が行われた。その結果、S-アリルシステインは肺における炎症および線維化を抑制した。
S-アリルシステイン が豊富に含まれた黒にんにく
S-アリルシステインの様々な効果・効能がわかりましたが、この成分が豊富に含まれている食べ物は何と言っても「黒にんにく」です。黒にんにくは、生のニンニクを熟成発酵させたもので、文字通り黒いニンニクになっています。
なぜ黒にんにくに、S-アリルシステインが豊富に含まれているのでしょうか。
それは、S-アリルシステインが生のニンニク中のガンマ-グルタミル-S-アリルシステインというペプチド化合物として貯蔵されているからです。この生ニンニクを熟成したときに、生ニンニクに存在するガンマグルタミルトランスペプチダーゼという酵素が反応して、ゆっくりとS-アリルシステインを生成してきます。
別の言い方をすると、S-アリルシステインは黒にんにくにしか含まれていないということです。S-アリルシステインを摂取して健康効果を得たいなら、積極的に黒ニンニクを食べていきましょう。なお、黒にんにくは味が甘酸っぱく、プルーンのように食べやすいです。黒にんにくはそのまま食べても良いですが、料理としても使えますので何かと便利です。